私が10年間過ごしたバリ島の島民は、ヒンドゥー教を信仰し、西暦の他にサカ暦(1年354日)やウク暦(1年210日)でも時間を測る。このサカ暦の新年が今年は西暦の3月7日に当たるので、久しぶりにバリで正月を迎えるべく、2日前の5日夜、バリへ向かった。
バリの新年は「ニュピ」と呼ばれ、1年の始まりに音を出すことも火を使うことも許されない。つまり元日24時間は道路に一台も通行者、車がなく、台所で調理する者もいない。夕方日が暮れても誰も家に火は灯さず、真っ暗な中で元日の夜を過ごすのだ。
その代わりといってはなんだけれど、大晦日はスゴイ。聖なるバリ島が新年を迎えるためには、島中の悪霊を追い出して浄化しなければならない。だから村の子供たちは爆竹のようなものを鳴らしたり、鍋を叩いたり、どこそこでドンドン、カンカン、ガチャガチャと音がする。
もう一つ面白いのはオゴオゴ。日本の「ねぶた祭」の山車にも似たオゴオゴは、バリの悪霊をかたどった張りぼて。町内の若い衆がそれぞれに趣向を凝らし、様々なオゴオゴを作り、大晦日の夜に練り歩くのだ。そしてこのオゴオゴ(悪霊)は、場所によって海岸沿いで焼かれたり、墓地で破壊される。つまりこれでバリ島から悪霊は消え、キレイな状態で新年を迎えられるというわけ。
久しぶりにバリでニュピ(サカ暦の新年)を迎えることになった私は、5日の夜空港に着いて村に戻ると、早速迎えに来てくれたマデサナ兄貴と一緒にUBUDの周辺を回った。まだ制作中のオゴオゴをチェックするためだ。
長くバリに暮らしていると、いやな面も見えてくる。最初にツーリストとして感動したバリとは違う「生の暮らし」としてのバリはイイところばかりじゃない。でも、バリを出て、今度は7年もジョグジャに暮らしていると、久しぶりに戻ったときのバリの印象はやっぱりイイものに変わっていたりする。今回も「やっぱりバリはスゴイ!」と思ったのがオゴオゴだった。
だって、こんな立派なハリボテが、フツーーーの村のガキたちによって作られているって、スゴくないか? 特にUBUD周辺は、観光客相手のレストランやホテルも多いから、多額の寄付金が出る。明日の大晦日の出番を待っているオゴオゴの横には、町内の誰さんがいくら寄付をくれた・・・と表がある。UBUD中心のオゴオゴには1体作るのに1300万ルピアの寄付金が集まっていた。もうすぐ3年目になる、あの中部ジャワ地震では、家を全壊で失った家族一件に着き1500万ルピアの復興義捐金が政府から出た。家一件建てろという額と、大晦日一晩の命で捨てられるハリボテ1体の制作費がほぼ同じというのも、う~ん・・・、なんとも考えさせられる。
そして翌6日、つまりは大晦日。
昨年はバリ島内で3110体のオゴオゴが作られ、今年は4035体が練り歩くことになっているらしい。いっときはこのオゴオゴ行列が酔っ払った若者のケンカ御輿みたくなって危険だとういうことで、警察から規制があったりもしたけれど、今年はどうやら盛大にできるらしい。
今日ここで掲載しているのは、私のバリの家族の住んでいる周辺のオゴオゴ。これがフツーに、芸大生でもなんでもない、村のガキ達によって、大人の手も借りずにできているってのは、う~~~ん、やっぱりバリはすごい・・・。それとも、ねぶた祭のあるかの地でも、村の子がこういうものを作れるっていうのは、フツーのことなんだろうか?
バリの人たちに便乗して、私も自分の心の中のマイナス思考(それこそがバリ人のいう悪霊なのかもしれないな・・・)を大晦日の夜と一緒に吹き飛ばしてしまおうと思っている。皆さん、新年おめでとうございます!(バリ式に「SELAMAT HARI RAYA NYEPI!!!」)














































