とうとう帰る日が来た。作品を送ってしまったので、キンチョー感はさほどではないけれど、気は抜けない。とくに今回はインドネシアで暮らし始めてから初めて、3ヶ月近くも帰省する。こんなに長らく家を空けたことがないので、日本へ帰ってからのことよりも、こっちの留守中のことの方がずっと気になる。
とはいえ、ここ数ヶ月、私には頼もしい助っ人ができた。ニンおばさん。おばさんってったって、おそらく私より若いのだけれど、むこうは三人も子供をもつ一家の大黒柱のような人だから、私は尊敬をこめて「ニンおばさん」と呼んでいる。彼女がイスラム教徒には珍しく大の犬好き(おそらくすべての動物好き)なので、デカクて吼えまくるティルム(うちの犬)とも相性がムチャいい。留守中にはニンおばさんがティルムとモジャのご飯の世話を毎日してくれるのだ。さらに庭の植木に水までやってくれるから、もう、感謝感謝。
昨日から冷蔵庫には何も入っていない。中途半端に買っても材料が残ってしまうので、最後の2日は外食と決めていた。最後の2食はジョグジャの美味しいものを食べようという案。ところが、いざ考えると、ぱっと食べたいものが浮かばないのだ。
そんなにジョグジャって、美味しいものがないのか???
結局浮かんだのは「midori」。この店、ホントに名前が「midori」なのだ。小さな専門学校の向かえにある、学生向きの小さな店。最初は名前につられて入ってみた。なんでmidoriとつけたのかが知りたかった。学食メニューのような品揃えと値段のこの店には、白髪で腹の出た、でも顔つきはなんだかとても上品なオッちゃんがいた。
最後に
「ね~、私もmidoriなんだけど、ディスカウントしてよ」
と、ホントに身分証明書まで見せて説明した。オッちゃんは喜んで、昔好きだった日本人の名前がmidoriだったことを話してくれたけれど、まけてはくれなかった。その代わり、その日以来私が行くと、やたら大盛にしてくれるようになった。
ここでは私の定番がある。「いつもの」と注文すれば出てくるのがオポール・アヤムとエス・ダウェット。鶏肉をココナツで煮込んだジャワ料理と、ココナツミルクに椰子砂糖で甘味をつけ、中に寒天のようなものを入れた飲み物。こっちもジャワの定番。
ここしばらく家で料理してたので、なかなかこの店にも寄れなかったので、よかった。
そして今日は本当に最後のランチタイム。あと3時間もしたら今使っているこのパソコンも荷造りして、空港へ向かう。最後の最後に何かな~と考えつつ、犬のご飯も買わなければならなかったので通りを車で走っていて思いだしたのが餃子。
別に日本に帰れば母メイドの美味しい餃子が食べられるのだけれど、この店はなんといってもココナツ・ジュースがむちゃ美味しいのだ。それと日本でいうバリそば。カリッと揚げたソバに、カニのあんかけが載ってるタミ・クピティンが私のお気に入り。この店にもかなり久しぶりに来た。
最後にはダイエットも気にせずにガバっと食べたくて、そばも餃子もいただき。イスラム圏らしく、ここの餃子は鶏肉&白菜。皮が分厚いのが今ひとつだけれど、ジョグジャで味わえる数少ない餃子に文句は言えない。
いつもジョグジャからバリ島のデンパサールを経由して、日本へ帰る。トランジットに時間があるときは、UBUDの家族のもとへ寄ってから帰国できたのだけれど、ここ3回ほどは乗り継ぎがぴったりのフライトスケジュールになっている。ジョグジャを午後9時に出て、飛行機で1時間、バリに着く。バリとジョグジャは時差1時間なので、バリ到着はすでに11時10分。そして国内線から国際線へ走り、00時35分発の大阪行きに乗る。
トランジットは1時間。とはいえ、ジョグジャからの便の場合、いったん到着口を出て、けっこう広いバリの空港敷地内で、国際線まで行くのはめんどくさい。さらに私の場合、インドネシアを出る時にはインドネシアに金を払わなければならない。空港税じゃない。長期滞在ビザをもってる人間(インドネシア国籍の人を含む、またここに戻ってくる人間)に対しては、FISCALという(今英語の辞書で見たら「国庫、国庫収入」とあった)100万ルピアの支払いが義務付けられているのだ。100万、日本円で13,000円弱。これを支払わされる。だからトランジット1時間ってったって、のほほんと免税店見てる時間はない。
こんなことを考えていると、すでに小心者の私の心臓はバクバク脈打ち始める。さらにあの機内の寒さも私の大敵。マスクも、防止も、マフラーも準備完了。今から忘れ物ないかチェックして、最後に犬たちとしっかり遊んで出かけるとしよう。明日の朝には日本だ。



















